【「始まり」と「ゴール」】
 どこから考えていくか。まず,腰を据えなくてはならない。
 取組は,一連の学び中の途中のことである。ゴールに何を据えているのか。そして,始まり(スタート)で,前提としていることは何なのか。「前提」「実態(現状)」「始めの見取り」から始まり,ゴール(到達点・到達目標)を目指すのである。取組は,始まりとゴールを結んだ線上にある。
 この線は,複数,幅広,曲線,螺旋・・多様な様態があるかもしれない。もしかしたら,放物線かもしれない。広大な宇宙を彷徨い,いつかどこかから帰ってくるような彗星のように,かもしれない。

 「始まり」をどこに見るか。何と考えるか。どう受け止めるか。当然,軽重もあり複数であると考えられるが,主たる点はどこから始まるのだろうか。
 ①:いわゆる「学力」≒教科学習内容の定着(とすると)に課題がある。
 すると,ゴールは,これらの向上となる。これらは認知能力であるので,ペーパーテストなどの点数で計ることができる。
 ②:主体的な「学び」の視点で課題がある。
 ゴールは,「主体的な学びが持続的にできるようになること」となるだろう。この場合の成果指標は何だろうか。
 個々の児童生徒が,課題に対して学びを持続的に行っているかどうかを教師が見取ることになるだろうか。自己評価アンケートもひとつの視点になる。これらは,否認知能力であろう。評価は間接的に行うこととなる。
 ③:人の未来(将来)の生き方を選択実現する力定着に課題がある。
 どんな力が児童生徒の未来を支える力となるのか,考え吟味検討ておくことが必要である。実に様々な回答が見出されることだろう。そして,そのどれも正解のひとつではないかと思われる。
 (※後に引用した西川純教授が述べられている(1段目)ことと,ほぼ同意。)
 それらの付けたい力の中で,学校では何を見つめるか。つまり,努力目標とするか。中心に据えるか。これは②と同義になるかもしれない。
 ゴールは,これと選んだ具体的な力の伸長を評価することになる。これも非認知能力となると考えられる。取り組む組織で,協議し,設定した力(こと)で,評価指標の具体は変わる。
 「始まり」とゴールを考えたならば,取組を考える指針となる。
 若い頃,私は間違えていた。取組が先に来ていた。取組を決め,ゴールを考えていた。
「始まり」を前提にし,ゴールを目指して,何をどうするのか。こういう視点が必要だと考えている。 2019.2.24

-------------以下,引用---上越教育大学 西川 純教授 2019.2.20 20:30 FBより---
 教育は,「子どもが持つべき能力とは何か?」を議論します。でも,それをやり始めると際限がなくなる。だって,もって悪い能力なんて殆ど無いから。「あった方が良いよね」という論が暴走する。外国語能力,プログラミング能力・・・もそうです。
 だから,教師の勤務時間内で出来ることは何か?というように,上限を定め,その上で議論するべきです。ところが,文部科学省の働き方改革での上限は,違法な数値を掲げています。私には分かりません。中央省庁の改革案が法規上,どう考えても違法な数値を前提としている。
 私は,現状の教師人気の低下は致し方ないと思っています。今後,名の通った大学の教員養成学部の著しく低下します。そして,教員にならないという選択することを地方大学でも増えます。おそらく,都道府県教育委員会が一番困るのは,そのような学生を採用しても途中でやめる人が増えて,その補充が出来ない現象です。今の時代,教員採用試験に落ちたら,民間に流れます。つまり,非常勤のバッファーがないのです。今は,昭和三十年代の人たちがそのバッファーになっています。しかし,その人たちが70才になれば,枯渇します。あと5年の猶予期間です。そうなったら身動きできない状態です。
 残念ながら,教育委員会は少ないパイを奪い合っている。パイを増やす努力はしていません。具体的には部活の社会体育への移行,ルーティーンの事務仕事を事務職員の一括担当,時間外の保護者対応はしない・・・・・。いまは,それをやったら反発を受ける保護者のことを恐れている。でも,やがて,学級担任がいない,教科担任がいないという事実を説明しなければならない。
 私のところには,こんな時代でも教師になろう,なり続けようという「奇特」な人たちが所属します。私はこの時代でも生き残れる術を伝授します。あと10年もたてば,都道府県教育委員会も選択肢を失うでしょう。そのころです。私は「私の言った通りでしょ」と吞んでいるでしょう。願わくば10年より前になれば良いのに。
追伸 高校からの悲痛な非常勤講師募集の連絡が来ます。あと5年で,絶対に破綻します。既に破綻しているのですが,誤魔化しきれなくなる。
--------------------------------------------------------------------------------------------- ここまで。
 2019.2.24